2024年04月01日
老健とね
ケアマネジャー
中村 武城
介護保険は、家族の介護や自分の老後をサポートする制度です。介護が必要な高齢者やその家族を社会全体で支え合うことを目的としています。今回は介護保険制度の基本について紹介します。
介護保険とは
2000年4月に創設された社会保険制度です。原則として40歳以上のすべての人が加入します。65歳未満は医療保険料と合わせて徴収されています。65歳以上は基本的に年金から差し引かれます。
何歳から利用できるのか
65歳以上です。40歳以上65歳未満でも特定疾病が原因で介護が必要だと認定されれば利用できます。
どうやって利用するのか
要介護・要支援認定の申請が必要です。市町村窓口にて認定申請を行います。地域包括支援センター、居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)でも代行することが出来ます。「①申請→②認定調査、主治医の意見書→③要介護度の決定→④認定結果通知→⑤ケアプランを作成」の流れで利用できます。
どんなサービスが受けられるのか
- 自宅に訪問してもらうサービス:訪問介護(ホームヘルパー)、訪問看護など
- 自宅から通うサービス:通所介護(デイサービス)、通所リハビリ(デイケア)など
- 短期間施設に泊まるサービス:ショートステイ
- 施設に入居して受けるサービス:特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅、グループホーム(認知症専門の施設)など
- 介護用具のレンタルや購入の補助:車いす、介護用ベッドなど
施設入所を検討しているご家族様へ
最近の施設利用についてお話しします。ここ数年はどこの施設もコロナ対応に追われていました。私の記憶では近隣でクラスター未経験施設はないのではないかと思います。コロナ感染症がゼロになることは今後も難しいため、感染対策をしっかりとした施設運営が求められています。
ご家族が入所を希望する施設は料金が比較的安価で長期入所が可能な特別養護老人ホームが多いです。しかし、どの特別養護老人ホームも満床のところが多く、入所までに時間を要することが多々あります。
逆に比較的入居しやすい施設は、有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅となります。
これらの施設は入居しやすい反面、特別養護老人ホームから比べると料金が高めです。施設選びは、介護度、料金、入居までの待機期間を考えながら選ぶ必要があります。
老健とねの在宅支援
老健とねは在宅復帰を支援する施設です。例えば脳梗塞が原因で麻痺となった方や、足や腰の骨折で治療後のリハビリを希望する方々が入所されるケースが多いです。本人と家族の今後の希望を確認するのですが、本人は「家に帰りたい」、ご家族は「介護が大変なので今後施設で過ごしてほしい」と家族間で意見が相違している状態で入所されるケースが多いように思えます。
入所後は、当施設にてリハビリの進み具合や生活状況を考慮して在宅復帰が可能かどうかを評価します。それと同時に、介護保険制度が分からないご家族には在宅サービスの種類や在宅での生活のアドバイスをさせていただきます。入所当初は介護保険の知識がなく、本人の病気や身体機能だけを考えて「在宅は無理」と思い込んでいたご家族も介護保険のサービス利用について理解が深まると、「在宅で介護ができるかもしれない」とご家族の気持ちが変化することもあります。
そして、在宅復帰を果たした後には、当施設の通所リハビリ、ショートステイを利用していただき在宅支援をしっかりと行っていきます。
3ヶ月ごとの老健とね入所と在宅生活
在宅復帰後、ずっと自宅で家族が介護するのも大変です。そのため老健とねでは入所(3ヶ月)と在宅生活(3ヶ月)を交互に行うことを勧めています。入所中、ご本人はリハビリをしっかりと行い、ご家族様はゆっくり介護疲れを癒していただきます。介護は「先が見えない」とよく言われますが、定期的に介護者が休むことによって在宅介護が継続していきます。
まずはお近くの相談機関に相談しましょう
施設を利用するのにあたって、みなさんに知っていただきたいことですが、介護保険施設は、入所条件や料金設定、入居できる介護度など施設ごとによって異なります。これをご家族だけで判断するのは難しいため、お近くの専門職(居宅介護支援事業所ケアマネジャー、病院相談員、自治体、社会福祉協議会など)にご相談いただき、アドバイスを聞きながら施設選びを行うことをお勧めします。
(『利根の保健』2024年4月号掲載)
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