さまざまある「めまい」

2020年02月01日

利根中央病院
診療部長・脳神経外科部長・科長
河内 英行

今回は、「めまい」について説明いたします。「めまい」といっても、いろいろな種類のめまいがあります。 自分や周りがぐるぐる回っているように感じる、またはゆらゆら揺れている感じなど様々な種類のめまいがあります。

症状による「めまい」の種類と原因

めまいは、自分自身や周りが動いていないにもかかわらず、三半規管などの異常により、平衡感覚を失った不快な状態のことです。
次のような種類があります。

回転性めまい
目が回る、周りがぐるぐる回るなどと表されるめまいで三半規管など体のバランスを保つ機能(平衡機能)の異常により起こります。
耳や脳の病気が原因と考えられます。
動揺性めまい
身体が浮いているような感じ、揺れているような感じのめまいのことです。脳腫瘍や脳卒中など脳に原因があることもあります。
また、高血圧や心因性疾患が原因のこともあります。
失神性発作
「目の前が真っ暗になった」、ふわっと気を失うような感じがしたなどと表現されるめまいで、頭から血が引くような感覚を覚えます。立ちくらみがこれに当たります。起立性調節障害や不整脈などが原因と考えられています。

このように、めまいにもいろいろな種類と原因がありますが、ストレスなどの心因反応が原因となることも少なくありません。

回転性めまい
(グルグル)
動揺性めまい
(フワフワ)
失神性発作
・耳鳴り・難聴をともなう
 メニエール病突発性難聴など
・耳鳴り・難聴はない
 良性発作性頭位めまいなど
・頭痛や意識障害がある
 脳卒中など
・視力障害(眼科疾患)
・高血圧
・脳腫瘍、脳卒中など
・ストレスや心因性反応など
・起立性調節障害
・不整脈など

原因からみためまいの分類

末梢性めまい
「良性発作性頭位めまい」は、特定の頭位で一過性に起こる回転性めまいですが、難聴・耳鳴などは伴わず、予後はよいとされています。耳石の一部が三半規管に沈着するため生じます。
「メニエール病」は、回転性めまいが発作性、反復性に起こり、難聴、耳鳴をともなうものです。特に原因はなく内リンパによる水ぶくれ(特発性内リンパ水腫)のためとされています。
「前庭神経炎」は、上気道感染あるいは感冒症状が先行することが多く、突発的なめまいの後にふらつき感が持続しますが、難聴、耳鳴などはなく予後はよいとされています。ウイルスによる前庭神経の炎症によるとされています。
中枢性めまい
「中枢性めまい」とは、脳卒中や脳腫瘍により脳幹や小脳に障害が生じ、めまいが引き起こされます。中枢性だからと言って、決して末梢性めまいより重症とは限らないので、頭部CTやMRIなどでの検査が必要です。

めまいの診断と治療

利根中央病院では、「めまい」の診察は耳鼻咽喉科と脳神経外科で担当しています。末梢性めまいは主に耳鼻咽喉科が担当し、中枢性めまいは脳神経外科が担当しております。しかし、末梢性や中枢性の診断には専門的な検査やCT、MRIなどの画像診断が必要ですので、めまいで受診する際には、どちらの診療科でも構いませんので、早めに受診してください。
また、めまいの治療については、まずは安静が大事です。その上で、薬物療法が行われます。さらに、良性発作性頭位めまいの場合には、耳鼻咽喉科にて、理学療法を行うこともあります。

めまいが起きたら

一般に、めまい及びめまいに伴う吐き気、嘔吐は一時的であり、過度に心配する必要はないので、あわてないで冷静に対処することが大切です。
様子を見る場合には、頭を低くして仰向き寝せ、安静にして様子をみましょう。吐き気や嘔吐がある場合には吐物を吸い込まないように体ごと横向きにさせましょう。しかし、めまいの他にも強い頭痛や意識障害をはじめ、半身の脱力やしびれ、視野障害、言語障害などの症状がある場合は、脳疾患の可能性が高いので、すぐに救急車を手配し、医師の診察を受けましょう。

関連記事

関連する記事です。
関心のある方はぜひお目通しください。

PAGE TOP