軽く見ないで頭痛

2019年12月01日

利根中央病院
診療部長・脳神経外科部長・科長
河内 英行

現在、多くの方々が頭痛によって、生活が制限されています。
利根中央病院脳神経外科では、頭痛で困っている患者様のために、毎週土曜日に頭痛めまい外来を設けています。
今回は、頭痛の種類や症状についてお話しします。

京都頭痛宣言(一部抜粋)

頭痛は脳神経系に起因する疾患であり、脳に悪影響を及ぼしています。
その中でも、片頭痛は仕事や日常生活に支障をきたす主要疾患のトップ20に入っており、また女性では12番目の疾患でもあり、次のことが推定されています。

  1. 日本だけでも800万人に及ぶ有病率を数え。
  2. 片頭痛発作により毎日60万人の日本人が苦痛を感じ、人間らしい生活を妨げられています。
  3. 頭痛による生産性の低下により、毎年2880億円経済的損失を日本経済にもたらしています。このように、頭痛による苦痛は、個人の生活に対する損害のみでなく、日本の経済損失にも影響を及ぼしています。

頭痛の種類

頭痛という症状をもたらす疾患は多数見られ、正確に診断することが重要です。

一次性頭痛
頭痛を有する他疾患が伴わない頭痛。
(1)片頭痛
(2)群発頭痛
(3)緊張性頭痛
(4)その他の頭痛
二次性頭痛
(5)頭部または頸部の外傷による頭痛(6)頭部・頸部の血管障害による頭痛
(7)血管異常によらない頭痛
(8)物質によるあるいは物質が消退することによる頭痛
(9)感染症による頭痛
(10)ホメオスターシスの異常による頭痛
(11)頭蓋・頸部・眼・耳・鼻・副鼻腔・歯・口腔・その他の頭部・頸部構造物の異常による頭痛
(12)精神疾患による頭痛

などに分類され、図のような出現頻度が見られます。

頻度の多い頭痛について

ここでは、頻度の高い頭痛(片頭痛・緊張性頭痛)について説明します。

片頭痛とは
・頭痛発作を繰り返す疾患で、発作は4~72時間持続。
・片側性、拍動性で、中等度~重度の強さ。
・日常的な動作により頭痛が増悪。
・随伴症状として悪心や光過敏・音過敏をともなう。
緊張性頭痛とは
・数分~数日間持続する頭痛。
・痛みは一般的に両側性で、性状は圧迫感または締め付け感。
・強さは軽度~中等度で、日常的な動作で増悪しない。
・悪心はないが、光過敏・音過敏を呈することもある。
また、片頭痛と緊張性頭痛の合併例も多くみられ、自分の頭痛がどのような痛みであるかを正確に判断する必要があります。
片頭痛の治療
片頭痛の治療には、(1)片頭痛治療薬の頓服、(2)片頭痛予防薬の内服があります。
(1)片頭痛治療薬の頓服
片頭痛治療薬には、多くの製剤があり、注射薬や点鼻薬、内服薬等さまざまな剤形があり、自分に合う薬を選ぶ必要があります。
(2)片頭痛予防薬の内服
片頭痛予防薬は、定期的に内服する必要があり、また若い女性には催奇形性の問題より、禁忌となっている薬剤もあります。
緊張性頭痛の治療
緊張性頭痛の場合、片頭痛治療薬は全く効果ありません。また、ストレスや疲労が原因となっていることも多く、頭痛薬だけに頼っても、一時的な改善だけであり再発を繰り返してしまいます。こちらについても正しい薬物治療を行うことが必要です。

頭痛めまい外来 毎週土曜日

今回、頻度の多い片頭痛と緊張性頭痛について、述べさせていただきました。しかし、頭痛はこれら以外にも、クモ膜下出血や脳腫瘍など、生命にかかわる重大な疾患の可能性もあります。利根中央病院脳神経外科では、毎週土曜日に頭痛めまい外来を設けましたので、頭痛によるお悩みの解消に少しでもお役に立てたらと考えています。また、次のポイントを診察の際に伝えていただけると、正確な診断につながりますのでご活用ください。

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