がん診療連携推進病院

当院は、2010年(平成22年)より「群馬県がん診療連携推進病院」に指定されております。
「群馬県がん診療連携推進病院」とは、全国どこにいても、適切ながん医療が受けられるように、厚生労働省指定の「がん診療連携拠点病院」に準じたがん診療を行い、地域の医療水準の向上に貢献する病院として、県が独自に指定した病院のことです。また、がん医療の地域格差をなくすために、「がん診療連携拠点病院」を補完する役割も担っています。

当院のがん診療は、がん患者様に寄り添い、総合的ながんケアを提供することを使命としています。私たちは、患者様の尊厳と心身の健康を最優先に考え、チーム医療のアプローチを推進しています。がん患者様に対して最適な医療サービスを提供するために、「がん診療体制」、「研修体制」、「情報提供体制」の三つの柱を重視しています。

まず、がん診療体制については、適切な治療の提供に尽力しています。私たちは、最新の医学的知識と技術を駆使し、がんの早期発見・診断・治療を行っています。また、個々の患者様の状態やニーズに合わせた個別化された治療プランを立案し、継続的なフォローアップを行っています。化学療法も含め、多様な治療法を提供し、最良の結果を追求しています。さらに、緩和ケアも重要な要素と位置づけ、患者様とその家族の心身の健康を支援しています。

次に、研修体制については、地域住民や医療機関向けに研修プログラムを展開しています。医療スタッフは、最新のがん診療の知識や技術を習得し、高い専門性と質の高い医療を提供することを目指しています。さらに、外部の専門家によるセミナーなども実施し、相互学習と知識の共有を促進しています。

最後に、情報提供体制については、がん相談とがん登録の両方を通じて、患者様とその家族に綿密かつ的確な情報を提供しています。がん相談では、医師や看護師が患者様の疑問や不安に応じ、適切なアドバイスやサポートを提供します。また、がん登録により、患者様の情報を集約し、がんの疫学的な研究や予防・対策に役立てています。

私たちのがん診療は、経験豊かな専門医師、看護師、薬剤師、検査技師、ソーシャルワーカー、栄養士など、多職種のプロフェッショナルが連携し、緊密な協力体制を築いています。このようなチームアプローチにより、総合的な治療計画の立案と実施を行い、患者様とその家族が受けるケアの質を向上させることを目標にしています。

がん診療連携推進病院としての取り組み

①手術、抗がん剤治療を効果的に組み合わせた集学的治療

利根中央病院では手術と抗がん剤治療、それらを組み合わせた「集学的治療」を提供しております。

手術は、がんの主要な塊や転移した組織を切除することで、初期段階のがんには有効な治療法です。手術によって腫瘍が摘出されることで、がんの進行を抑えることが期待されます。早期の消化管のがんでは体に傷をつけずに内視鏡での切除が可能です。一定以上進行した癌では通常の開胸・開腹手術に加えて、傷が小さく回復が早い鏡視下手術を取り入れております。

抗がん剤治療とは、がん細胞に対し有効な薬剤を使用する治療法です。手術が困難な方に対して腫瘍を縮小させ転移のリスクを低下させる目的で用いる場合と、手術で摘出しきれなかったがん細胞や転移した組織を効果的に減らして再発のリスクを低下させる目的で用いる場合があります。また、抗がん剤は血液中に流れるがん細胞にも作用するため、全身的ながんの治療にも適しています。

集学的治療では、手術と抗がん剤治療を組み合わせることで、がんの局所的な制御と全身的ながん細胞の撲滅を同時に進めることができます。手術によって目に見える腫瘍を除去し、抗がん剤治療によって目に見えない残存しているがん細胞を根絶することで、治療効果が最大化されると考えられています。

利根中央病院では、がん診療委員会が最新の研究や治療ガイドラインに基づき、患者様一人ひとりに最適な集学的治療プランを立案しています。私たちの目標は、患者様の生活の質の向上とがんの治療成績の向上です。集学的治療を通じて、患者様の希望やニーズに応え、より良い結果を追求してまいります。

②緩和ケアの提供

概要

緩和ケアは「終末期医療」と捉えられがちですが、病気の時期に関わらず、診断から治療の全過程の中で病気によって生じる「つらさ」が対象であり、さまざまな問題に対応する医療のことです。また、緩和ケアは患者様のみではなくその家族も提供の対象となります。
当院では、多種職で構成された緩和ケアチームが相談しながら、より専門的な緩和ケアを提供しております。

緩和ケアチームとは、QOL(生命と生活の質)を向上させるため、多職種により構成されたチームが専門的な知識・技術を用い、患者様またはその家族に対しさまざまな援助を行うことを目的としています。また、緩和ケア診療においては医師・看護師など、その患者様や家族にかかわる医療スタッフへの支援も行っております。

活動内容

  • 早期より「緩和ケアスクリーニング」を実施し、ニーズを把握。
  • 毎週緩和ケア病棟のラウンドおよび介入中の患者さんのケア方針についてカンファレンスを実施。
  • がん疼痛など身体的苦痛の治療および精神症状の治療。
  • 援助的コミュニケーションによる心理的サポート及びスピリチュアルケア。
  • 患者の療養環境についての困難や要望を聞き、患者様や家族の希望する療養スタイルを整備・調整・支援の実施。
  • リンパドレナージ。
  • 学会・研究会・研修会への積極的参加を通じ、緩和ケアの水準の維持・向上に努める。

③キャンサーボードの設置及び定期的な開催

キャンサーボードとは、手術・放射線療法及び化学療法に携わる専門的な知識・技能を有する医師やその他の専門医師及び医療スタッフ等が集まり、がん患者の症状・状態に対する治療方針等を共有・確認等するためのカンファレンスのことです。
当院でも、患者様にとって最良の治療を提供するために様々な専門家が集まり、定期的なキャンサーボードを開催しております。

④セカンドオピニオンの提示

⑤がん患者相談窓口の設置(がん相談支援センター)

概要

がん相談支援センターは、患者様やご家族のほか、地域の方々どなたでもご利用いただける、がんに関すること全般の相談窓口です。がん専門相談員(看護師・医療ソーシャルワーカー)がお話を伺い、相談内容に応じて各専門職とともに対応いたします。

  • 対面での面談のほか、電話での相談も可能です。
場所 1階 総合支援センター
受付時間 平日9:00~17:00
土曜日 9:00~12:30
電話 0278-22-4321(代表)

例えばこんなとき、ご相談ください

  • がんと言われて何も考えられない。
  • 医師の話がよくわからない。
  • セカンドオピニオンについて知りたい。
  • 緩和ケアについて知りたい。
  • 地域の病院や診療所に関する情報を知りたい。
  • 仕事に関する相談。
  • 思春期・若年成人(AYA世代)における、がん患者の悩みについて。
  • AYA世代のがんについて知りたい。
  • 患者様の状況に合わせて、連携医療機関へ紹介することができます。

⑥院内がん登録の実施

がん登録とは、がんの診断・治療・経過などの情報を集め、保管・整理・解析する仕組みのことです。患者数や罹患率・生存率・治療効果など、がん対策の基礎となるデータを把握するために実施しています。

院内がん登録とは、がんと診断・治療されたすべての情報を病院全体で集め、その病院のがん診療がどのように行われているかを明らかにする調査です。登録情報は国立がん研究センターに集約され、全国レベル・都道府県レベルでどのような特徴があるか検討・報告がされます。その情報を基に診療内容の評価・改善などに役立てています。

利根中央病院で対応が可能ながん

利根中央病院で対応可能ながんの種類は、下記の表からご確認ください。

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