サプリメントの正しい利用法

2024年03月01日

利根中央病院
薬剤部長
大竹 美恵子

健康志向の高まりからサプリメントを利用している方が多くなりましたが、そのサプリメント、本当に必要なのでしょうか。また、サプリメントは健康食品で薬ではないから、安全で副作用は無いと思っていませんか。そんなことはなく、健康被害の報告もあります。

今回はサプリメントと上手に付き合うためのてお話しをさせていただきます。

サプリメントとは

「特定成分が濃縮された錠剤やカプセル」とされていますが、明確な定義が無いのが実情です。

サプリメントの語源は英語で「supplement」のことであり、日本語に訳すと「補足・追加」となります。つまり、もともと足りない栄養分を補うことが目的の栄養補助食品と言えます。病気治療目的の薬ではありません。

サプリメントの選び方

買う前に「本当に必要か」冷静に考えましょう。「有名人が飲んでいる」「私は、これで病気が治った」といった情報に惑わされないでください。

また、違法品にも注意しましょう。インターネットで購入したり、海外旅行のお土産でもらったりする海外製品には気を付けてください。サプリメントと宣伝しながら、故意に薬の成分を添加した製品の場合もあります。

買う時は、次に上げる項目を確認してください。

1. 成分名

具体的な栄養成分が記載されているものを選びましょう。「〇〇抽出物」「××エキス」などという表示は「具体的な栄養成分が不明」な場合があります。

2. 含有量

適切な量を摂取するため、成分含有量の情報は必要です。成分含有量の表示がない製品は、有効性も安全性も分からない製品の可能性があります。

3. 問い合わせ先

食品衛生法で定められている「製造者」「販売者」「輸入者」が表示されているか確認しましょう。

サプリメントの使い方

1. 薬とサプリメントは別物

サプリメントは薬ではありません。病気の治療に使用しても治らなかったり、症状が悪化したりすることがあります。

2. 薬との併用に注意

2018年4月号の「利根の保健」に書かせていただきましたが、薬と食品にも飲み合わせの悪いものがあります。同様に、薬と飲み合わせの悪いサプリメントもあります。薬の効果が弱くなったり、副作用が出やすくなったりすることがあります。定期内服薬がある方は、自己判断でサプリメントを摂取することは控えましょう。

3. 用量を守る

「サプリメントは食品だから、たくさん飲んでも問題ない」「薬ではないから副作用が出ない」「たくさん飲めば早く症状が改善する」と自己判断で決められた量より多く飲んでいませんか。たくさん飲めばよいというものではありません。一例ですが、ビタミン剤は、水に溶けやすい水溶性ビタミンと、油に溶けやすい脂溶性ビタミンがあります。水溶性ビタミン(ビタミンB・C)の過剰分は尿や便で体外に排泄されるため、たくさん飲んでも無駄になります。また、脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の過剰分は脂肪や肝臓に蓄積し健康を害してしまいます。

4. 何種類も同時に摂取しない

何種類も同時に摂取することは、過剰摂取になり健康被害が現れる可能性があります。他の人に良い効果があったサプリメントが、自分に良い効果があるとは限りません。自分に足りない栄養分を補うサプリメントを体調に合わせて摂取することが大切です。

また、「食事を疎かにして栄養分は何種類ものサプリメントで摂る」ということも止めましょう。

終わりに

テレビや雑誌、新聞、インターネットで簡単に情報が得られる今日、サプリメント情報も簡単に手にすることができ、サプリメントの需要が高まっています。しかし、健康の基本は「栄養・運動・休養」の三本柱です。

  • 栄養=バランス良い食事
  • 運動=適度な運動
  • 休養=適度な休養

偏った食事で栄養はサプリメントを摂取ではなく、バランス良い適量の食事を毎日摂ることが大切です。自分が何を食べ、どのような栄養素が摂れているのかを知り、足りない成分だけサプリメントで補いましょう。サプリメントは、足りない栄養分を補うもので、食事の代わりではないということも忘れないでください。

サプリメントを適切に使って、健康的な食生活の相棒にしましょう。

参考文献

厚生労働省「健康食品の正しい利用法」
興味がある方は「厚生労働省」のホームページから閲覧してください。

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