放射線科について

2024年02月01日

利根中央病院
放射線科科長
山田 宏明

放射線科は、各種画像検査を行う放射線診断部門、がん等の病気を放射線を用いて治療する放射線治療部門、放射線同位元素(ラジオアイソトープ)を用いて画像検査・治療を行う核医学部門に大きく分かれています。

放射線治療や核医学部門には特殊な設備が必要で、当院では放射線診断のみ行っています。
当院放射線科では、以下3職種のスタッフが従事しています。

放射線技師

医師・歯科医師の指示に基づいて実際に検査を行います。漫画・テレビドラマで取り上げられたこともあり、ご存じの方も多いかと思います。撮影方法や患者さんのポジショニング等を工夫することで、わかりやすい画像を撮影したり放射線被ばくを軽減させたり等、放射線科業務の主役として活躍しています。

当院では休日夜間も技師当直体制をとっており、救急患者様も24時間検査を行うことができます。

放射線診断医

撮影された画像を確認(読影)して、主治医へ報告書を作成します。緊急性の高い病気や、偶然存在した検査目的外のがん等、患者さんの体にある異常を見落とさないために主治医とダブルチェックを行います。当院では常勤の診断医が不在でしたが、2020年より群馬大学と連携し常勤体制となりました。

放射線科看護師

検査で造影剤(後述)を使用する場面があります。注入するための点滴確保や患者さんの体調チェック等、放射線科業務に必要不可欠な存在です。

放射線科スタッフとCT
放射線科スタッフとCT

当院で可能な検査

レントゲン

放射線(X線)を使用した検査です。比較的短時間・低被ばくで撮影が可能で、放射線科の基本となる検査です。

CT(コンピュータ断層撮影)

レントゲンよりも詳細に病気の評価が可能で、短時間で全身の情報が得られます。一方で被ばく量がレントゲンよりも多く、適切な使用と撮影方法の工夫が必要です。

マンモグラフィ

乳房専用のX線検査です。主に乳癌検索・評価に用いられます。乳房を圧迫し、薄く伸ばした状態で撮影します。

骨密度測定

骨粗しょう症等の評価に用いられます。複数の測定方法がありますが、当院ではDXA(デキサ)法を用いた装置を使用しています。エネルギーの異なる2種類のX線を使用し、カルシウム等の骨内ミネラルバランスを他の方法より正確に測定することが可能です。昨年度撮影機器を更新し、以前より短時間で検査が可能となりました。

消化管造影

胃のバリウム検査が有名ですが、大腸などその他部位の撮影も行われます。
心臓血管造影:心臓の検査・治療、透析用血管(シャント)の治療等を行っています。実際の検査・治療は医師が行いますが、放射線の照射や撮影条件の調整等を放射線技師が行っています。

MRI

上記の検査と異なり、放射線を使用せず磁石の力で撮影を行います。このため被ばくの心配はありませんが、ペースメーカー等の機械や体内に埋め込まれた金属等にトラブルの危険性があります。検査前に問診を行い、これら物品の有無をチェックしています。脳梗塞など、MRIでないとわかりにくい病気も多いです。CTよりも検査時間が長い(20~30分、もしくはそれ以上)です。

放射線被ばく

日本は他国と比較してCT等の検査機器数が充実しており、検査が受けやすい環境といわれています。一方で検査による被ばくも多いとされ、被ばくに伴う発がんリスクも叫ばれています。放射線科では不要な被ばくを防ぐため撮影方法の工夫を行っています。

造影剤とアレルギー

CTやMRI、心臓血管造影など、複数の検査で造影剤という薬剤を使用します。点滴やカテーテルを通して血管内に注入することが多いです。造影剤を使用しないと評価が難しい病気も多く、放射線科では欠かすことのできない薬剤です。しかし頻度は高くはありませんがアレルギーを生じることがあり、非常に稀ですが命にかかわることもあります。当院では放射線科医師が検査室内で業務を行っており、アレルギー出現時には同医師が診察・治療を行うことでスピーディーに対応出来るよう心掛けています。実際に検査を行う放射線技師、注射を行う看護師、診察を行う医師の連携も重要で、各職種が参加したアレルギー対応のシミュレーションも行っています。

アレルギー対応シミュレーションの様子
アレルギー対応シミュレーションの様子

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