フレイルチェックをしてみよう

2023年09月01日

利根中央病院
理学療法士
七五三木史拓

国の政策の中でもフレイル予防は重視されていて、市町村の介護予防事業でフレイルの予防に関連する事業が増えてきています。今回はフレイルとは何かを知ってもらう事と、読んでいる皆様がご自身でフレイルチェックができる機会となれば幸いです。

はじめに

人生100年時代と言われる今、少しでも長く要介護状態にならないようにする、いわゆる健康寿命の延伸が求められています。その中で、要介護状態の一歩手前を表す、「フレイル」という考え方が注目されるようになってきました。

フレイルは要介護状態とは異なり、適切な対応をすれば健康な状態に戻れる時期でもあります。

フレイルとは

日本語訳で「虚弱」を意味する言葉であり、筋力低下などの身体的な機能低下のみならず、うつ症状などの精神心理的な問題や閉じこもりなどの社会的な問題を含む多面的な概念とされています。簡単に言いますと、知らず知らずのうちに心身機能が低下し、要介護状態に近づいている状態です。

フレイルは身体的・精神心理的・社会的の3つに分類されています。原因は人それぞれ異なりますが、筋肉量が減少するサルコペニアを入口にして、図1に示すような悪循環に陥ってしまうことでフレイルが進行してしまう方が多いと言われています。

図1
「理学療法ガイドライン フレイル2021」を参考に作成。
図1
「理学療法ガイドライン フレイル2021」を参考に作成。

フレイルは、健康な状態と要介護状態の中間地点とされていますが、最近ではフレイルの予備軍という意味で、プレフレイルという考え方も出てきています。

このプレフレイルの段階で早期発見・早期対応ができれば、それだけ早く元気な状態に戻せる可能性が高くなります(図2)。

国も定期的なフレイルチェックをすることを推奨しています。

図2
「理学療法ガイドライン フレイル2021」を参考に作成。
図2
「理学療法ガイドライン フレイル2021」を参考に作成。

3つの分類

では、前述したフレイルの3つの分類についてみていきたいと思います。

①身体的フレイル

筋力低下はもちろん体を動かすための機能が低下することを意味し、その原因は加齢・活動量の低下・低栄養・疾患による影響と様々です。近年ではオーラルフレイルという口腔機能の低下も、身体的フレイルに分類されています。

②精神心理的フレイル

明確な基準はありませんが、うつ症状や活力の低下、軽度認知障害(認知的フレイルとも言う)が特徴とされています。どことなく元気が出ない、物忘れが多くなり生活のしづらさを感じている方は要注意です。

③社会的フレイル

社会的というのは、家族との交流はもちろんですが、自宅の外に出て他者との交流があるかという事を意味します。

社会とのつながりが希薄となり、社会的フレイルに陥っている方は、閉じこもりがちになり、身体的フレイルや精神心理的フレイルに陥りやすいと言われています。

やってみようイレブンチェック

フレイルの概要を確認したところで、実際にフレイルのセルフチェックをしてみましょう。セルフチェックにはいくつか種類があります。

今回は東京大学 高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授が考案した「イレブンチェック」(表1)をご紹介します。

表1
東京大学高齢社会総合研究機構 飯島勝矢教授「フレイル予防ハンドブック」を参考に作成
表1
東京大学高齢社会総合研究機構 飯島勝矢教授「フレイル予防ハンドブック」を参考に作成

フレイル予防のために

セルフチェックの結果はいかがでしたか?赤い欄にいくつ○が付きましたか? 前述した通り、フレイルは早期発見・早期対応が重要です。市町村でも介護予防事業で体力測定会が開催されていますし、当生協でもまちかど健康チェックで握力や足指力などのチェックをすることが可能です。

定期的にフレイルになっていないかチェックし、心配な方は、市町村で開催している介護予防事業や、当生協で開催している班会に参加してみてはいかがでしょうか。

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