2021年02月01日
利根中央病院
看護師長
宮本 笑子
周りの人で急に具合が悪くなった人がいたら、119番通報をし、落ち着いて状況を伝える事が重要です。急変の中でも最も重症である心停止は、皆さんの協力が必要です。
一刻も早く(1)大声で人を集める(2)119番通報(3)胸骨圧迫とAEDによる電気ショックを行うことがポイントです。
一刻も早く心肺蘇生
心停止とは心臓が止まってしまった状態です。心臓が止まると、全身に血液が回らなくなります。脳に血が回らないと、数秒で意識がなくなり、息も止まります。そこで、ただちに心肺蘇生法を行うことが大切です。
胸骨圧迫が最も重要!
心肺蘇生は、医療関係者では胸骨圧迫と人工呼吸の組み合わせが原則ですが、一般市民である皆さんは胸骨圧迫のみで良いことになっています。(図1)
日本心臓財団HPより https://www.jhf.or.jp/check/aed/how/
*強く:胸が5~6cm以上沈むまでしっかり体重をかけて押し下げ、すぐにゆるめます。
*早く:1分間に100~120回の早さで。
*たえまなく:特に成人の場合において、心臓が原因の心停止では、胸骨圧迫のみの心肺蘇生でも、人工呼吸つきの従来の心肺蘇生と同等もしくはそれ以上の効果があることが分かってきました。
電気ショックで救命率が2倍に
心臓病による死亡の多くは、病院の外で突然起こる心臓突然死です。日本では毎年5万人以上が亡くなっています。
心臓突然死は、心臓が細かくふるえる心室細動と呼ばれる不整脈から引き起こされることが多く、心臓の動きを戻すには少しでも早く電気ショックを行う必要があります。突然倒れてから、電気ショックが1分遅れるごとに救命率は約10%ずつ下がります。皆さんがAEDで電気ショックを行うことで、救命率が約2倍に高まります。
AEDとは
自動的に心臓の状態を判断して、電気ショックが必要かどうかを教えてくれます。電気ショックで、正しい心臓のリズムに戻します。日本では各種さまざまなAEDが販売されています。自分の住んでいる地域や施設に、どんなAEDがあるのか調べてみましょう。
AEDの使い方
AEDは音声や画像で指示を出してくれるので、その指示に従って行動します。
1. AEDが到着したらすぐに電源を入れます。機種によっては、AEDのフタをあけると自動で電源が入るものもあります。
2. 倒れている人の衣類を取り除き胸をはだけます。AEDのケースに入っている電極パッドの1枚を胸の右上に、もう一枚を胸の左下の素肌に直接貼り付けます。電極パッドを貼る間もできるだけ胸骨圧迫を続けます。(図2)
日本救急医学会HPより http://aed.jaam.jp/about_aed.html
3. 「離れてください。心電図の解析中です」との音声メッセージとともに、AEDが自動的に心臓の状態を判断します。
4. 電気ショックが必要な場合は「ショックが必要です」と教えてくれます。周囲の人が倒れている人に触れていないことを確認して、ショックボタンを押します。(図3)
日本救急医学会HPより http://aed.jaam.jp/about_aed.html
5. 電気ショックの後は直ちに胸骨圧迫を再開します。AEDの指示に従い、約2分おきに胸骨圧迫とAEDの手順を繰り返します。
注意:AEDのパッドは救急隊が到着するまで貼ったままにし、電源も切らないでください。
電気ショックが不要と判断されたら
AEDが「電気ショックは不要です」と指示してきた時、「心臓が動いている!回復した!」ではありません。明らかに体が動き始めるまでは、必ず胸骨圧迫を行ってください。
コロナ禍の今、実施する際に気を付けること
コロナ禍での心肺蘇生では胸骨圧迫を行う際、マスク着用、可能であればたおれた人の鼻口にマスクやハンカチをかぶせてください。さらに、処置を行った後には必ず手洗いを行いましょう。