知って防ごう「夏バテ」~食生活を見直すポイント~

2017年07月01日

利根中央病院 管理栄養士
石橋 裕子

夏になると「からだがだるい」「食欲がわかない」など不調を感じる「夏バテ」に悩まされる方も多いのではないでしょうか。暑くなってくると、喉越しのよい麺類やアイス、炭酸飲料などの甘くて冷たいものを口にしがちに。夏バテをしないカラダを作り、今年の夏を元気に乗り切りましょう。

夏バテの原因

高温多湿の日々が続くことで汗をかくと、水分とミネラルが失われてしまい脱水症状の原因になります。暑い時でも摂りやすい冷たい飲み物や食べ物を摂る機会が増えることにより体が冷えて胃腸の働きが低下すると食欲不振を招いてしまいます。また、暑い屋外とエアコンの効いた室内の激しい温度差により体温調節する自律神経が対応しきれずに乱れてしまうことや熱帯夜によって寝つきが悪くなり睡眠不足になるなど、体に余計な負担をかけてしまうことで、全身のだるさや疲労感などの症状が起きてきます。

夏バテ予防のポイント

① 食事は量より質
暑いとそうめんや冷や麦など食べやすい麺類のみの食事になりやすく、栄養バランスが崩れがちです。食欲がなくても1日3食、胃に負担のかからない消化のよい良質のたんぱく質(卵、肉、魚、牛乳など)、ビタミン(野菜や果物など)、ミネラル(牛乳や海藻など)をバランスよく、少しずつでもいろいろな種類の食品を摂りましょう。
② ビタミンB1の補給
ビタミンB1は、エネルギーを産み出すときに必要なビタミンです。炭水化物に含まれる糖質は、主にビタミンB群の助けによって体を動かすエネルギーを産み出すことができます。不足すると体内に摂取された糖質をエネルギーに変換しにくくなり、エネルギー不足になってしまいます。また、汗や尿からの排泄であったり、炭水化物に偏りがちな食事になってしまうことが、ビタミンB1をより消費してしまうので、積極的に摂る必要があります。ビタミンB1を豊富に含む食品は、豚肉、うなぎ、大豆、玄米、ほうれん草、ごまなどがあります。アリシン(にんにく、にら、ねぎ、玉ねぎなど)を含む食品と一緒に食べるとビタミンB1の吸収がよくなります。
③ 香味野菜や香辛料を利用
香味野菜の香りや辛味などで食欲を増進させましょう。冷房で冷えすぎると代謝が下がりだるさにつながりますが、みょうがや生姜は血行をよくして体を温め、胃腸の働きをよくしてくれます。唐辛子やカレー粉、こしょうなどの香辛料は唾液や胃液の分泌を促進して食欲を増進する働きがあります。これらの消化酵素が分泌されることで食事からの栄養素を吸収しやすくなります。
④ 冷たい物の摂りすぎに注意
清涼飲料水やアイスなど冷たい飲み物や食べ物ばかりを食べていると胃腸をこわしたりしてしまうことがあります。また、冷たさによって甘みを感じにくくなっていますが、アイスやジュース類には砂糖がたくさん使われているため、満腹感が得られて食欲がさらになくなることもあります。火を使う調理でキッチンに長時間立ちたくないときは、電子レンジなどの調理器具を上手に活用して、温かい料理も摂るようにしましょう。
⑤ 水分やミネラルを補給
夏野菜は水分・ミネラル・ビタミンB群など体が必要とする栄養素を多く含んでいます。食欲がない時こそ夏野菜を上手に取り入れて夏バテしない体を作っていきましょう。特にオクラやモロヘイヤなどのネバネバした野菜は、弱った胃の粘膜を保護して消化吸収を助ける働きがあります。喉が渇いたと思った時にはすでに脱水が始まっているので、少量でもこまめに水分を摂るようにしましょう。アルコール飲料は利尿作用があるので水分補給には適しません。
⑥ クエン酸で疲労回復
クエン酸(レモン、グレープフルーツ、オレンジ、梅干しなど)は、疲労の原因となる乳酸を排出する働きがあるため疲労回復効果があるので、積極的に摂りましょう。

リズムある生活を

夏バテ予防には毎日の疲労を体に溜めないことが大切です。規則正しい生活と適度な運動を心がけ、生活のリズムを保つようにしましょう。また、ぬるめのお湯につかり身体と神経をリラックスさせたり、寝る前に部屋を冷やしておき寝るときには冷房を切るかタイマーで切れるように設定するなど、質の良い睡眠も心がけましょう。

豚バラとトマトの梅じそ炒め

材料(2人分)
材料 分量
豚バラ肉 200g
トマト 1/2個
梅干し 2個
大葉 2枚
醤油 大さじ1
みりん 大さじ1
料理酒 大さじ1
サラダ油 適量

作り方

① 梅干しの種をとり、包丁でたたく
② ①とみりん、料理酒を合わせる
③ 豚バラ肉を中火でしっかり焼く
④ 乱切りしたトマト、②、粗切りした大葉の順に豚肉と絡め、火を止める(大葉は少し残しておく)
⑤ 器に盛り付け、残しておいた大葉を散らし完成。

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