世界禁煙デーと禁煙のススメ

2012年05月01日

利根中央病院
片品診療所 所長
松井 直樹

「世界禁煙デー」とは

5月31日は「世界禁煙デー」です。国連の一組織である世界保健機関(WHO)が、「タバコを吸わないことが一般的な社会習慣となるよう様々な対策を講じるべきである」という目的で定められた日です。
WHOでは、「世界禁煙デー」を喫煙者に対して喫煙を控えるよう呼びかけるとともに、各国政府、自治体、団体、個人に対して喫煙と健康問題についての認識を深、適切に実践するよう求める日であるとしています。めです。
日本でも厚生労働省が毎年5月31日から6月6日までの1週間を「禁煙週間」と定められ、喫煙及び受動喫煙による健康への影響について積極的に普及啓発を行う、こととされています。
私たちの身近なところだけでなく、日本中、世界中で喫煙対策が行われているのです。

喫煙の害

喫煙が体に良くないということは知っていても、具体的に、どのように悪いかは意外と知られていないようです。
世界では毎年500万人以上が、喫煙が原因で亡くなっています。さまざまな紛争や自然災害で多くの人が亡くなっていますが、その一方で喫煙により毎年多くの人が亡くなっています。
日本人での調査で、40歳の男性で喫煙している人は喫煙しない人よりも4年寿命が短いことがわかっています。喫煙が関係した病気はたくさんあり、中にはちょっと意外なものもあります。(表を参照)

自分は吸わなくても他人が吸ったタバコの煙を吸って(「受動喫煙」と言います)健康被害が出ることがあります。家庭での受動喫煙で非喫煙者の死亡が1~3割増えるとの報告があります。乳幼児の突然死が増えたり、夫が喫煙する妻の肺がん死亡率が2倍近く増えたりという危険があります。

禁煙治療に健康保険が使える

喫煙している人のほとんどはニコチン依存症という病気の状態になっており、簡単にやめることが困難になっています。ですから禁煙には「治療」が必要です。
多くの人が自力で禁煙していますが、「禁煙したいけど自信がない」「楽に禁煙したい」という方には、お薬があり、禁煙外来で処方することができます。
現在では一定の条件を満たせば健康保険を使い禁煙の治療を受けることができます。

治療のながれ

健康保険を使った場合の禁煙外来では5回の診察を行い、12週間の治療となります。(図参照) 初回では、これまでの喫煙について振り返り、喫煙の害の確認、治療法の決定、吸いたくなった時の対策、などを患者さんと一緒に行います。
2回目以降は、禁煙をスムーズに開始できたか、無理なく継続できているか、禁煙して良かったことはあるか、薬の副作用はないか、などを確認していきます。
5回目の最終回は、禁煙が継続できている人には、今後再び喫煙しないための注意事項を伝え、禁煙できたことをねぎらって「表彰状」をお渡ししています。この表彰状を受け取って嬉しそうに帰って行かれる方が多く、私たちもう嬉しくなります。
禁煙外来では、87%の方が通院治療で禁煙に成功しています。現在でも4人の方が治療に通っています。
薬には、貼り薬(ニコチネルTTS、通称ニコチンパッチ) と飲み薬(チャンピックス)があります。禁煙成功率はどちらも8割です。
薬局でニコチンパッチは買うこともできますが、うまくいかなかった方も多いと思います。禁煙外来では、医師、看護師がさまざまな支援を行いますし、次の診察を目標に頑張ることもできるため、禁煙しやすいと考えられます。
飲み薬は、車を運転中に事故を起こした方がいたため、現在では車を運転する方には処方できなくなってしまいました。

禁煙しましょう

タバコの値上げ、子供・孫の誕生、など何かをきっかけに禁煙を開始する人が多いのですが、この記事を読んだのも、何かの縁かも知れません。この機会に禁煙をお勧めします。

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