2011年06月01日
利根歯科診療所
歯科衛生士
小池恵理子
むし歯というと、“子供の病気”という、イメージが強いでしょうか?確かに、大人に比べて子供の方がむし歯にかかりやすいと言えなくもないですが、大人ももちろんむし歯になります。ここ20~30年の間に、“子供のむし歯”は大きく減りました。そして、虫歯は予防できる疾患であることもわかってきました。しかし、“大人のむし歯”は今も昔も、あまり大きな変化はありません。日本人の虫歯の有病率は、先進国の中で最悪です。
今回は、特に “大人のむし歯”について説明します。
虫歯とは?
まず、むし歯とは何でしょうか。むし歯とは、細菌が作る酸により歯が溶けてしまう病気のことです。歯周病と並び、歯科の二大疾患の一つです。
大人の虫歯は
- 1.ゆっくりと進む
- 子供の場合は、生えたてで歯の表面の成熟度が低く溶けやすいのですが、大人の場合は完成していますのでゆっくり進行することが多いようです。また、痛みがでないこともあり、進行させてしまうこともあります。
- 2.唾液が減ると・・・
- むし歯のなりやすさには、唾液が関係しています。唾液の量が多いほど、また酸性を元に戻す能力の高い唾液ほどむし歯予防に役立ちます。しかし、年をとるにつれ全身疾患のための薬を服用することが増え、そうした薬の中には唾液分泌を減らすものが多く、口の中が渇きむし歯になりやすくなっていくのです。さらに、現代はストレス社会と言われています。ストレスや疲労も全身疾患だけでなく、お口の中にまで悪影響を及ぼします。
- 3.歯周病により露出した歯の根っこ
- 歯周病により、骨が壊されると本来隠されていた歯の根っこがお口の中に露出してきます。この根の表面はエナメル質よりも溶けやすく、こうした部分にむし歯ができるのも特徴の一つです。また、乳歯と違って生え替わりませんから、治した部分との境目から再発することも少なくありません。
効果的な虫歯予防
- 「歯磨き」で除去!
- ・夜の歯磨き
- 朝や日中が忙しい人も、夜は少し時間があると思います。さらに虫歯は就寝中に進行しやすいので、一日の中でも夜の歯磨きに重点をおいて磨くと良いと思います。すべてのプラークを夜に落とすことを心がけましょう。歯並びが悪い場所や歯と歯の間に隙間のある人は特に補助道具(デンタルフロス、歯間ブラシなど)の使用も有効的です。また、むし歯予防に効果的なフッ素が入った歯磨き粉を必ず使って下さい。(現在市販されている歯磨き粉のほとんどに配合されています。)
- 食生活のポイント
- ・量ではなくて回数に注意
- ごく初期の虫歯は、唾液による作用で自然に修復されます。1日3食の他に間食が増えるほど、この修復作業が間に合わなくなり、虫歯の進行を後押ししてしまいます。ダラダラ食べの習慣は改善しましょう。
- ・就寝前は控えめに
- 就寝直前の飲食では、寝るまでに唾液による自然修復が間に合いません。さらに眠っている間は、唾液があまり出ないため虫歯が最も進む時間帯です。就寝前の飲食は、虫歯に格好のごちそうを残してしまうことになります。
- 歯科医院を上手に利用する
- かかりつけの歯科医院をお持ちですか?歯科医院に定期的に通院することで、ブラッシングで足りなかった部分のお手入れを補い、点検によりむし歯の早期発見・早期治療を進めることができます。
- 中高年以降のむし歯は、口腔衛生のみだけではなく、全身的、精神的、生活習慣(食習慣) などのリスクが大きく影響しています。歯科医院に通院し、お口の中だけでなく、全身、精神、生活習慣もしっかり把握して、トータルでサポートし、8020を達成していきましょう!