2011年03月01日
利根中央病院
内科医長(診療技術部長)
原田孝
皆さんに質問です。以下の項目でご自身にあてはまるものをチェックしてください。
- 1日に何度も咳をする
- 1日に何度も黄色がかったり粘ったりする痰が出る
- 同年代の人に比べて息切れしやすい
- 40歳以上である
- 現在タバコを吸っている、または以前吸っていた
どうでしょうか?5項目のうち、3つ以上あてはまる方は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の可能性があります。以前は、「肺気腫」や「慢性気管支炎」と呼ばれていた病気で、タバコが引き起こす病気の代表と言えます。ご自身は吸っていなくても、家族からの受動喫煙で発症される方もいます。
タバコを吸う人の15~20%がCOPDを発症するといわれています。
COPDってどんな病気?
気管支は枝分かれして細くなり最後は肺胞という、ぶどうの房のような構造になります。(図1)ここで吸い込んだ空気の中の酸素と血液中の二酸化炭素が交換されます。タバコの煙によって、この肺胞が破壊された状態がCOPDです。肺はふくらんで空気が吐きづらくなります。COPDの症状は慢性的です。最初は坂道や階段を上る時の息切れから始まります。
グラフ1をご覧ください。年をとるにつれ、誰しも肺の機能は低下していきます。タバコを吸うとそのペースが速くなり、そのうちの15~20%の方がCOPDのレベルまで悪くなってしまうのです。
COPDの治療は?
慢性的な病気なので悪くさせないことが大事です。まずは何より、禁煙です。吸った分だけ、咳や痰が増えて苦しくなります。禁煙した上で、症状に応じて飲み薬や吸入する薬、貼る薬などを使います。かぜをきっかけに症状が急に悪くなる(急性増悪といいます)ことが多いので、早めの対応が必要です。呼吸体操や腹式呼吸などの呼吸リハビリテーションも有効です。また、栄養をしっかり摂って、筋肉をつけることも大事です。
毎週水曜日に「禁煙外来」
本年1月1日より、禁煙外来を始めました。以下の3つの条件を満たす方が対象となります。
- 禁煙指数(1日の本数×年数)が、200以上の方
- 質問表によりニコチン依存症と診断された方
そして何より大事なのが、
- 禁煙の意思がある方
ということになります。治療期間は3ヶ月です。最初は2週間毎に来院していただき、計5回のプログラムとなっています。
内容としては、医師、看護師によるアドバイスを中心に、禁煙をサポートします。薬剤としては、ニコチン代替療法(ニコチンパッチやガム)や、ニコチンを含まない禁煙補助薬「チャンピックス」(タバコを吸ってもおいしく感じなくなる作用と、禁煙の離脱症状を軽減する作用があります)を使用します。禁煙外来は水曜日の午後、完全予約制です。詳細は内科外来にお問い合わせ下さい。
「踏み出そうファースト・ステップ 続けようエヴリディ」
COPDは辛い病気です。当院で呼吸器外来を担当して15年間、多くのCOPD患者様とお付き合いさせていただいています。「もっと早くにタバコをやめておけば良かった。」そのお気持ちを皆さんにお伝えするのが私の役目です。禁煙をきっかけに、一人一人が健康について考え、みんなで幸せへの一歩を踏み出せればいいなと思っています。
最後に私が作詞・作曲した曲を紹介します。