2026年11月01日
利根中央病院
小児科医員
前原孝史
日ごとに寒さも増し、身にしみる季節となりました。冬にはさまざまな感染症が流行しやすく、家族内や集団保育で感染が広がってしまうこともしばしばみられます。
今回は、子どものインフルエンザについて、症状や家庭でのケア、予防のために知っておきたいことをお伝えします。
インフルエンザとは
インフルエンザは、インフルエンザウイルスの感染で起こる急性呼吸器感染症です。主に流行するのはA型とB型で、例年冬季を中心に流行します。咳やくしゃみなどによる飛沫感染や、手から口や鼻を介した接触感染で広がります。感染力が強く、発症前日から発症後3~7日間程度は、鼻や口からウイルスが排出されます。
周囲への感染を防ぐため、発熱や強い倦怠感などがある場合は学校や仕事を休み、咳やくしゃみがある場合には、マスク着用や咳エチケットを心がけましょう。
主な症状
インフルエンザでは、発熱、頭痛、関節痛、倦怠感などが比較的急速に現れることが特徴です。咽頭痛、鼻水、咳などの一般的な風邪症状もみられます。多くの場合、発熱などの症状は4~5日程度続いた後、自然回復します。ただし、乳幼児、高齢者、基礎疾患のある方、免疫機能が低下している方は重症化リスクが高いため、特に注意が必要です。
検査と診断
診断は症状や流行状況、診察所見をもとに、必要に応じて迅速検査などを組み合わせて行います。インフルエンザの抗原迅速検査は、発症直後には感染していても陰性になることがあります。特に発症12時間以内は陽性になりにくく、24~48時間になると陽性になりやすくなります。そのため、検査結果だけでなく、症状や経過を含めて総合的に診断します。
治療と家庭でのケア
治療には内服薬や吸入薬を含む抗ウイルス薬が使用されることがあります。発症から48時間以内の投与で発熱期間を1~2日程度短縮する効果が期待されますが、多くは自然軽快するため、抗インフルエンザ薬の投与は必須ではありません。前述の重症化しやすい方では、薬による治療が勧められます。なお、それぞれの抗インフルエンザ薬は年齢や感染型ごとに投与の推奨有無が異なるため、内服・吸入回数や服薬のしやすさだけでなく、それらも考慮した薬剤選択が必要になります。
また、一般的な風邪の治療として、十分な安静や水分摂取も重要です。食欲が落ちているときは、食べやすいものを少しずつ、子どものペースに合わせて用意しましょう。
気をつけたい症状
合併症として肺炎や中耳炎、まれに脳の働きに障害が起こる「脳症」を来すことがあります。その他、抗インフルエンザ薬の服薬有無に関わらず、急に立ち上がって部屋から出ようとする、うわごとを言って声かけに反応しないなどの異常行動を来すこともあります。異常行動は学童以上に多く、特に発熱期間中は注意が必要なため、窓や玄関を施錠し、できるだけ一人にしないなどして、転落などの事故を防ぐ対策をとりましょう。
発熱が長引く、呼吸が苦しそう、痙攣・意識障害・異常行動が長引く・繰り返すといった場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
予防接種
ワクチンは生後6か月以上の小児に推奨されています。13歳未満は1シーズンに2回、13歳以上は原則1回、不活化ワクチンを皮下注射します。2歳以上19歳未満では、1回接種の経鼻生ワクチンも選択できます。ワクチン接種後もインフルエンザを完全に防げるわけではありませんが、発症や重症化を減らす効果が期待でき、特に乳幼児や基礎疾患のあるお子さんでは、接種の意義が大きいです。
生後6か月未満の乳児はワクチンを接種できないため、家族など周囲の人が接種することも大切です。ワクチン接種後も手洗い、換気、咳エチケットなどの感染対策は重要です。
登園と登校の目安
インフルエンザは学校保健法に基づき、発症後5日を経過し、かつ解熱後2日(幼児は3日)を経過するまで出席停止となります。発症日を0日目として数えること、発症後5日と解熱後2日の両方を満たすことが必要であることがポイントです。なお、出席停止解除にあたり、再検査や治癒証明書を提出する必要はありません。